【JAPiCO】 一般社団法人 日本個人情報管理協会



第1回 個人情報とプライバシー

一般に、「個人情報」と「プライバシー」同一のものと混同されている。重なる部分はあるものの、両者は異なるものである。個人情報は「個人を識別できる情報」である。住民台帳基本ネットワークの制定の際に定義されたのは、氏名、住所、生年月日、性別の4項目である。個人情報保護法ではさらに広く、学校の学籍番号や企業内の社員番号、利用しているメールアドレスなどの、その他個人を識別できる番号や記号もその中に含めている。

ただ、これらのものが直ちに秘匿・保護すべき情報かと言えば、そうではない。
町内会の名簿には氏名、住所、電話番号などを記載するので「個人情報保護のために廃止すべし」という主張が広範囲になされたが、これは、一律に廃止すべきものではない。
町内での運動会や行事の際に、これらの情報があれば運営は円滑に行く。もちろん、いろいろな事情で秘匿したい、という希望があれば、公表名簿から外すのは当然だが、標準的な基準では全員掲載で、例外的に秘匿する人もいるというのが適切だろう。

ここで、いろいろな事情は人によってさまざまだ。他人に知られたくない情報は、「プライバシー」として保護することが重要だ。通常は「病歴」などは共通して「プライバシー」とされ、この患者の病歴については、医師や看護師には厳格な守秘義務が課せられている。ただ、当人が、その病歴を何らかの形で公表した場合には「プライバシー」として扱わなくても良いだろう。

このように個人情報の中には「秘匿したい情報」があって、これを「プライバシー」として保護する。個人情報を一律に非公表にするのではなく、当該者が「秘匿したい」というものを「プライバシー」として尊重し、保護するというのが適切な対応である。
ただし、日本の「個人情報保護法」では、保護すべき情報にはさらに条件を付けているので、次回以降、解説してゆく。


【筆者=JAPiCO理事長 中島洋】
*本コラムは、個人情報管理士、認証企業・団体サポートの一環として配信されている「JAPiCO」メールマガジンからの抜粋です。
*Japan Foundation for Private Information Conservation Organization