【JAPiCO】 一般社団法人 日本個人情報管理協会



第2回 「名刺情報」は「個人情報」か?

弁護士さんやPマークの指導をするコンサルタントの皆さんの中には、「名刺情報」を「重要な個人情報」として厳重に管理すべし、と主張している方もいる。従って、他人から受け取った名刺などは引き出しの中にカギをかけて管理しなければならない、という過剰な主張にもつながる。

しかし、「名刺情報」を一律に「秘匿すべき情報」のように管理するのは間違いである。
むしろ、「名刺情報」は通常は会社など名刺を発給する側が、その人物が組織の中でどういう機能を果たしているかを伝えるために使用するように渡しているもので、「個人情報」というより、「会社情報」の一部というのが適切ではないか。受け取った名刺は、会社の中の関係者で情報共有するように顧客データベースに保管するケースは多々ある。
それどころか名刺を管理するサービス会社もある。そこに登録しておくと、相手の肩書が変わったときに、他の登録者が変更を入力すると、他の登録情報も一斉に更新してくれる。名刺が秘匿すべき「個人情報」ならば、勝手にこうしたサービスに登録は許されない。
しかし、名刺を渡す側は、特別に秘匿するように依頼することがない限り(そういうケースは極めて稀だが)、渡した名刺情報がどのように共有化されようと異議を唱えないはずである。

「個人情報」は個人を識別する情報である。名刺情報も別のアングルからみれば、個人を識別できるので個人情報の一種である。銀座の高級飲食店や特殊なサービスの社用族の顧客は名刺を出すが、これは、それほど流通されては困る種類の情報で、こういうケースでは知られたくない「個人情報」かもしれない。ただ、ここでも、知られたくないのは「どういう会社のどういう役職の人」という「会社情報」の方かもしれない。
こういう例はあまり多くない。「名刺情報」に期待されている一般的な目的としては、「秘匿すべき個人情報」は、本来あるものではない。「名刺情報」ついては、一律に「個人情報」として慎重すぎる取り扱いは見当違いである。ぜひ、積極的な活用を望みたい。


【筆者=JAPiCO理事長 中島洋】
*本コラムは、個人情報管理士、認証企業・団体サポートの一環として配信されている「JAPiCO」メールマガジンからの抜粋です。
*Japan Foundation for Private Information Conservation Organization