第94回 マイナンバーカード(1)

総務省のホームページによると、「マイナンバーカード(個人番号カード)は、「本人の申請により交付を受けることができ、個人番号を証明する書類や本人確認の際の公的な身分証明書として利用でき、また、様々な行政サービスを受けることができるようになるICカードです。交付手数料は、当面の間無料です(本人の責による再発行の場合をく)」と概要を記述している。

表面には、氏名、住所、生年月日、性別、顔写真、電子証明書の有効期限の記載欄、セキュリティコード、サインパネル領域(券面の情報に修正が生じた場合、その新しい情報を記載(引越した際の新住所など))、臓器提供意思表示欄が記載される。個人番号は裏面に記載される。

個人番号カードは、金融機関等、本人確認が必要になる窓口で身分証明書として利用できるが、個人番号をコピー・保管できる事業者は、行政機関や雇用主等、法令に規定された者に限定されている。規定されていない事業者がその窓口で、個人番号が記載されているカードの裏面をコピー・保管することはできない。レンタルビデオショップやレンタカーなどで身分証明証としてマイナンバーカードを提示することが考えられるが、その際、窓口の担当者が裏側にある個人番号をメモしたり、スマホで撮影することは違法行為になる。

総務省は注記として、個人番号カードを身分証明書として取り扱うかどうかは、最終的には各事業者側の判断となる、と説明している。事業者の方針で、一部の事業者ではマイナンバーカードを利用できない場合があるので注意しなければならない。

来月10月から、マイナンバーの通知カードが送付されるが、通知カードには、個人番号カード交付申請書が同封される。申請書には氏名・住所・生年月日・性別がすでに印刷されている。申請者は、必要事項を記入の上、顔写真を添付して署名又は記名押印して、同封してある返信用封筒に封入の上、申し込みすることになる。

2016年1月からは、申し込まれた個人番号カードの作成が終わったら、市町村から個人番号カード交付通知書が申請者に届く。申請者は届いた交付通知書、通知カード、本人確認書類を持参し、交付通知書に記載される交付場所へ個人番号カードを受け取りに行く、という仕組みである。スマートフォンやパソコンによる申請やまちなかの証明写真機からの申請などもできる市町村もある。また、居住地の市町村によっては申請時に来庁して本人確認を行う方法等もある。市町村によって多様な縫方法を準備している。

その使用シーンやメリットについても紹介している。

マイナンバー制度導入後は、就職、転職、出産育児、病気、年金受給、災害等、多くの場面で個人番号の提示が必要となる。その際、通知カードであれば、運転免許証や旅券等他の本人確認書類が必要となるが、個人番号カードがあれば、一枚で番号確認と本人確認が可能になる。

市区町村や国等が提供する様々なサービス毎に必要だった複数のカードが個人番号カードと一体化できるようになる。2017年1月から開始される「マイナポータル」へのログインをはじめ、各種の行政手続のオンライン申請に利用できる。オンラインバンキングをはじめ、各種の民間のオンライン取引に利用できる。また、コンビニなどで住民票、印鑑登録証明書などの公的な証明書を取得する際にも利用できるようになる。

その上に、実現するかどうかは微妙だが、今回の消費税引き上げ時の軽減税率でも利用することが検討されるなど、新しい利用シーンは広がりそうである。


【 筆者=JAPiCO理事長 中島洋 】
*本コラムは、個人情報管理士、認証企業・団体サポートの一環として配信されている「JAPiCO」メールマガジンからの抜粋です。
*Japan Foundation for Private Information Conservation Organization