第100回 生体認証とマイナンバーカード

本人を確認する認証技術には現在、「所有物認証」「知識認証」「バイオメトリクス(生体)認証」の3つのパターンがある。

「所有物認証」は鍵、カード、証明証などで、これを所有している人が資格がある人として行動できる。ただし、紛失したり、盗難、あるいは人に貸したりして、確実な手段であるとは言えない面がある。「知識認証」は暗証番号やパスワードなどで、資格がある人が記憶していることが必要である。忘れてしまう危険がある。推測されてなりすまされる危険もある。

もう1つの生体認証は情報技術を利用できるようになって急速に発展している。また、ネットワークの利用などにも今後は重要な役割を果たすことになるだろう。個人情報の保護にも適用される 場面が増加するはずだ。

生体認証には「指紋、指静脈」「掌紋、手のひら静脈」「顔」「虹彩(黒目の部分)」「声紋」「筆跡」とさまざまなものが開発され、精度が向上しつつある。生きている人間にはある年齢以降、一生涯変わらない固有の情報がある。それが、上記の指、手のひら、顔、虹彩、声紋などで、あるポイントを決めて情報を抽出すると、そのポイントから得た情報は不変であることが分かっている。

顔や声など、年齢とともに変化しているように見えるが、あるポイントを抽出した情報は変わらないということである。本人以外には利用できず、なりすましを防ぐことができる。マイナンバーカードでは公的個人認証機能を収容するが、認証方法はいくつかの方法を併用しても良いだろう。公的個人認証の補完として生体認証技術を利用することも選択肢の一つである。

生体認証の情報を収容することは容易である。特に顔認証は顔写真から簡単に情報を抽出できるので自然に利用できるので有利である。もちろん、すでに入退室の管理に実用化されている指紋、指静脈、虹彩、掌紋なども実用化への障壁は低いだろう。


【 筆者=JAPiCO理事長 中島洋 】
*本コラムは、個人情報管理士、認証企業・団体サポートの一環として配信されている「JAPiCO」メールマガジンからの抜粋です。
*Japan Foundation for Private Information Conservation Organization